ジョンへガティ卿、ダンワイデンの対談ビデオを見た。 刺激を受けた。

少し前に、今年のカンヌでの特別対談のビデオを見た。
ジョン・へガティー卿(BBH)とダン・ワイデン(W&K)の二人が話す、というものだ。

この二人、誰?という方の為に、この二人のバイオグラフィーをカンタンに記すと…。
ジョン・へガティー卿(Sir John Hegarty)…BBH共同設立者の一人。Levi’sのCMが有名。Brad Pittを起用したのは彼。
ダン・ワイデン(Dan Wieden)…W+K共同設立者の一人。Nikeの”Just Do It.”のキャッチコピーを生み出した人。

というわけで、超がつくほどのビッグネームな二人なのだ。
なんと言うか…かっこいいオヤジたちなのだ。
そして、鬼。リアル広告の鬼。
変態と呼んでも良いのかもしれない。
二人がそれぞれ自分のこれまでの仕事を振り返りながら、
語るというスタイルなのだが(二人がどんどん話をしてしまうので、モデレーターとしている司会の人がほとんど話をしていない笑)
二人の対談の中で、気になった言葉いくつか記す。

「ナイキは同じ広告を二回も出稿しない。」
「誰かに手紙を書くときに、同じ手紙を二回も送ったりしないだろう?」

「アイデア80%, エクセキューション80%」
「アイデアは始まりにすぎない。」

「never give up, keep pushing.」
「it’s all about storytelling.」

かっこ良すぎる。

興味深いのは、先日参加したワイヤードのカンファレンスと同じく、彼らもアイデアだけじゃなく、エクセキューションの重要性を強調しているところだ。

WIRED CONFERENCE 2012@Roppongi Hillsに行ってきた

ワイヤード主催のカンファレンスに行ってきた。
クリス・アンダーソンさんのトークが大変面白かったので、レポート記事にしたい。

<Who is「クリス・アンダーソン」?>
US版ワイヤード編集長(つい最近、辞任する報道が出たけど)。日本では書籍が一番有名で、

『ロングテール -「売れない商品」を宝の山に変える新戦略-』
『フリー -〈無料〉からお金を生みだす新戦略-』

などのネット系や、広告関係の人には特に知られた著作を持つ。
最近発売された著書が、『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』
今日行ってきた講演は、このMakers Movementについて取り扱うもの、と言う訳だ。

カンファレンスのページにも、詳しいプロフィールがある。

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<WIRED CONFERENCE 2012基調講演内容要旨>

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クリス・アンダーソンさんの講演は、まず、スイスからの移民であったご自身の祖父の話から始まりました。彼は、仕事の傍ら、「発明」をする事に時間をかけていたそうです。彼のそのときの発明は、「スプリンクラー」。時計の技師がおおい、スイスらしく、そのスプリンクラーにタイマーをつけ、初めて特許を取ったのがクリス・アンダーソンの祖父でした。

「特許をとって、お金ももらえて、すばらしい話じゃないか!」と周りの人は思うかもしれませんが、発明者であるクリス・アンダーソンさんの祖父は「特許」と言う物に対して、良くは思っていなかったようです。彼は、「発明」という行為を通して、自分のアイデアを具現化し、マーケットに出す事に成功しましたが、自分が発明した物が自分の手から離れてしまう事をも意味していました。彼は発明者ではあっても、起業家ではなかったのです。そんな祖父から、クリス・アンダーソンさんは「ものづくり」のいろはを学びました。機械製図の基礎から、実際にそこで起こしたアイデアをプロトタイプに落とし込むまでなど。型から、エンジンを作った事もあったそうです。

時はながれ、現代。物作りはテックショップと呼ばれる、いわゆるファブラボのようなスペースで行われるものとなりました。この物作りの変遷の動きは、当時メインフレームと呼ばれ、アクセスがきわめて限定だったコンピューティングが、パーソナルコンピューターとして人々に広く普及していった流れとよく似ています。

クリス・アンダーソンさんは続けます。「これまでの10年は新しいソーシャルとイノベーションのモデルをウェブで試す事でした。これからの10年はそれを現実世界に広げる事です。」と。

まず最初に産業革命。それは、人が持つ「物理的な力」を例えば水力や電力を使って機械に変換する事を可能にしました。その結果、少ない人間が、膨大な量の製品を作り出す事を可能としました。しかしながら、それはそれまで散らばっていた人々の住まいを工場に集約させる事となりました。そして、その工場は資本家が所有していた物です。

そして、次の産業革命。プリンターという存在(パーソナルコンピュータではない)を考えてみると、プリンターを通じて、波及力は限定的ではある物の、「知識をパブリッシングする」というそれまでできなかった事ができるようになりました。さらに、ブログの登場を経て、知識を広める事ができるようになりました。プリンターとブログは、それぞれプロトタイプのツールであり、ディストリビューションのツールであったと言う訳です。

三つ目の産業革命。つまりこれからの時代。プリンターがプロトタイプのツールであったとするならば、これからは3Dプリンターがプロトタイプのツールとなるでしょう。それに対応する、ディストリビューションのツールは、クラウドマニュファクチャリングプラットフォームの存在があげられるでしょう。ウェブが広まっていったときとおなじ構造がここでもみられるのです。

クラウドマニュファクチャリングプラットフォームの一例…

<alibaba.com>
世界最大のB2Bインターネット貿易サイト。サプライヤーとバイヤーをつなぐ。
http://www.alibaba.com/

<trademanger>
上記のalibaba.comにて、サプライヤーと連絡を取り合うためのチャットツール。やり取りされるメッセージは自動的に翻訳される。
http://trademanager.alibaba.com/

アイデアをプロトタイプし、実際に製品として作るところまで、個人でできてしまうのです。でもその後は?そこで、kickstarterなどでクラウドファンディングを行うのです。

<kickstarter.com>
http://www.kickstarter.com
クリエイティブなプロジェクトのためのクラウドファウンディングサービス。予算はないけれども、魅力的なゲームや低予算映画のプロジェクトがあるユーザーが、他のユーザーから投資を受けることができるプラットフォームです。有名なのは、pebbleというプロジェクト。68,000人以上の支援者を集め、$10,266,845(!)という金額を集めています。

クラウドファンディングがすばらしいのは、お金を借りる必要がない事です。ユーザーからの支持をベースに資金が集まるので、市場調査もかねています。(お金が集まる=マーケットがほしがっている物である、という図式が成り立ちます)また、一番すばらしいのはユーザーからの支持を集める段階で、「コミュニティ」が出来上がるという点です。ユーザーは顧客ではなくなり、参加者となるのです。

クリス・アンダーソンさんの祖父が作ったタイマー付きスプリンクラーは今の時代だったらどうなるだろうか?そんな考えをもとに、クリス・アンダーソンさんが作ったスプリンクラーが、”OpenSprinkler” ネットにつながっており、外からでもスプリンクラーをコントロールすることも可能です。APIも公開されており、手順を経れば、だれでも自分で安価に作る事ができます。クリス・アンダーソンさん自身はスプリンクラーを作った事があるわけでももちろんなく、それでもネットで関係者の力を借り、1ヶ月ほどで作り上げる事ができました。しかも、これまであったスプリンクラーより良い物が。

そのときに使ったツールですが、Autodesk 123Dというソフトがあります。

インターフェース画面をみると、PrintだったりMakeというボタンがあります。考えてみるとすごい事で、印刷する、プロトタイプを作り上げる、というのは一昔前は専門領域で、場合によってはPhdがいるような領域でした。

クリス・アンダーソンさんの娘さんたちにこんな事があったそうです:彼女たちはドールハウスで遊ぶ事が多いのですが、もっと家具を集めたりして、おもちゃのバリエーションを増やしたいと思っていました。そこで、父親であるクリス・アンダーソンさんにおねだりをして、amazonで何かいいものは無いかどうか、いろいろ探してみるのですが、たくさんのメーカーが製品を出しており、そのどれもに規格が存在する訳でもなく、自分たちのニーズに合う物が無い事がわかったそうです。そこで、クリス・アンダーソンさんたちがとった方法とは、プロの家具デザイナーがオンラインで公開している家具のCADデータを入手、それを用いて自分たちのドールハウスで合うサイズに変更し、3Dプリンターで作り出し、自分たちが望む形に塗装してそれを使う事でした。確かに既製品とは品質では勝負できないかもしれませんが、彼女たちにとってはそれで十分であり、しかも自分たちのクリエイティビティーが発露できたと感じているのです。これまでの消費活動の代替にはなりませんが、オルタナティブとしては十分機能しうるのです。

(ちなみに、Autodeskの”123D catch“と言うツールを使えば、iPhoneで撮影した対象物が自動的にデジタルモデルに変換されるというさらにすごいアプリがあります。)

ビル・ジョイというコンピュータ技術者(サンマイクロシステムの初期メンバーの一人)によるこんな話があります。

すべての知識、そしてアイデアを現実にするためのインフラがすべてネットで探し出せるこの時代、世界の名だたる企業で働くのは「優秀な人」ではなく、企業が求めるクライテリア(いい大学を卒業している、言葉が話そうとしている、など)に合致する「安全な人」であると。企業が求めるタスクに対して、企業が雇用しているのは実は「最高のスタッフ」ではない、ということです。

では、最高のスタッフとはどこにいるのか?

クリス・アンダーソンさんは、3D Roboticsという会社を経営しています。もともとは、ご自身の子供がレゴとモーターを使っておもちゃを作ろうとしているのをみて、「これが空を飛んだら面白いかもな」と思い、趣味で作った空飛ぶラジコン(DIY Drones)を製品として売り出すために作った会社です。

クリス・アンダーソンさんがこの空飛ぶラジコンのプロトタイプを作ろうと思っている事をブログで呼びかけたところ、反応したのがメキシコに住んでいるJordii Muñozという人でした。

その後彼とクリス・アンダーソンさんは、アイデアを製品に落とすため、ラジコンのプロペラを稼働するために必要なモーターをalibaba.comで中国のサプライヤーに発注し(翻訳はtrademanagerで行われる)、モックアップを作り出しました。

数年前にほんの思いつきで始まったプロジェクトは、適切なコミュニティを作ることで、自ら関与したいと思える人を世界中からあつめ、実際の企業として事業化への道を歩んでいます。

このJordii Muñozという人物ですが、クリス・アンダーソンさんにコンタクトをとったときはほんのティーンエージャーにしかすぎず、大学教育を受けた訳じゃありません。いわゆる従来の基準でいうと、決してつながる事の無かった二人です。しかし、このDIY Droneというプロジェクトにおいては彼が「最高のスタッフ」であったのです。クリス・アンダーソンさんが決して彼を求めた訳でなかなく、彼がクリス・アンダーソンさんを探し当てたのです。

ここに、新しい時代の物作りのヒントがあります。クリス・アンダーソンさんはこの3D RoboticsでフルタイムのCEOとなるために、WIREDの編集長を辞める事となりました。

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なんだか、ものづくりの動きというと、自分でもわかった気になっていたけど、それよりももっと大きな事が動いているのかなと感じた講演だった。いろいろ自分でも考えてみよう!

【更新版】processing上で作成したandroidスケッチから.apkファイルを生成するには

以前のエントリーで、自分用のメモとして書いたのは良かったものの、訪問してくれたユーザーの方が見るには不便な状態かと思ったので、書き足す事にしました。

更新内容としては、参考リンクにあげられていたステップの解説です。

手順としては、以下の通りとなります。よろしければ、ご参考していただければと思います。

<当方の実行環境>
mac os x (ver. 10.7.4)
processing 1.5.1

<apk化手順>
【スケッチのエクスポート】
・apk化したいスケッチが開かれた状態で、processing PDEをアンドロイドモードに変更されている事を確認。

・PDEインターフェース上にある”Export Android Project”ボタンを押す。(写真参照)

・スケッチがあるフォルダ内に”android”というフォルダが生成される。

ここまでは、カンタンですね。

【スケッチのサイン】
さて、ここからコマンドラインをたたくなど、若干ハードルはあがりますが、やってみるとそんなに難しくないです。それではいってみましょう。

・シェルを開く。マック環境ならTerminal.appを立ち上げる。

・シェル内にて、スケッチがあるフォルダまで移動。

・さらに、さきほどのエクスポートの結果で気上った /android/の中にまで移動。

・そして、つぎはシークレットキーの作成を行います。

・シークレットキーの作成の為に、以下のコマンドをシェルにぶち込む。

user$ keytool -genkey -v -keystore <SKETCHNAME>-release-key.keystore -alias <YOURNAME> -keyalg RSA -keysize 2048 -validity 10000
(<SKETCHNAME>, <YOURNAME>は適宜書き直してください。)

ちなみに私は、”fightlog”というスケッチをここでapk化しようとしていたので、以下のようなコマンドになりました。

keytool -genkey -v -keystore fightlog-release-key.keystore -alias Togo -keyalg RSA -keysize 2048 -validity 10000

・そうすると、なんかいろいろ聞かれます。
私の環境では、日本語で下記の内容を聞かれました。
※ここで、シェル上にて表示される質問項目が文字化けするという人は、一番下にある方法を試してみてください。
「キーストアーのパスワードを入力してください。」
「新規パスワードを再入力してください」
「姓名を入力してください」
「組織単位名を入力してください」
「組織名を入力してください」
「都市名または地域名を入力してください」
「州名または地方名を入力してください」
「この単位に該当する2文字の国番号を入力してください」

・一通り終わると、以下のメッセージが表示されればオーケーです。

<SKETCHNAME>-release-key.keystore を格納中

・lsコマンドで確認すると、あたらしくファイルが出来上がっています:<SKETCHNAME>-release-key.keystore

【”unsigned .apk”をつくります】

・antコマンドを利用し、unsigned apkを生成します。

user$ ant release

・なにやらごちゃごちゃ始まりますが、次のようなメッセージがでてくればオッケーです。

BUILD SUCCESSFUL
Total time: 6 seconds

・よく見ると、 /bin/の中に、 <SKETCHNAME>-unsigned.apkというファイルが出来上がっています。

【unsigned .apkを前述のシークレットキーでサインします】

・シェル内に今度は以下のようなコマンドをぶち込みます。

user$ jarsigner -verbose -keystore <SKETCHNAME>-release-key.keystore <FULL PATH TO>\android\bin\<SKETCHNAME>-unsigned.apk <YOUR NAME FROM SECRET KEY STEP>
※<SKETCHNAME>, <FULL PATH TO>, <SKETCHNAME>, <YOUR NAME FROM SECRET KEY STEP>は適宜入力。

・”adding” “signing”やら、なんやらいろいろ出てきます。

【jarsignerがきちんと機能したか、確認する】

・あともうちょっとです!さきほどのjarsignerコマンドが機能したかどうか、以下をシェルにぶち込み確認します。

user$ jarsigner -verify <FULL PATH TO>\android\bin\<SKETCHNAME>-unsigned.apk
※<FULL PATH TO> <SKETCHNAME>は適宜入力。

・以下のようなメッセージが出れば成功です。

jar verfied.

【最後にサインした.apkファイルを生成する】
・以下をまたシェルにぶち込みます。

user$ zipalign -v 4 <FULL PATH TO>\android\bin\<SKETCHNAME>-unsigned.apk <SKETCHNAME>.apk
※<FULL PATH TO>, <SKETCHNAME>は適宜入力。

・いろいろごちゃごちゃ出てきますが、以下のようなメッセージがターミナルに出力されればオッケーです。

Verification successful

・そうすると、目当ての.apkファイルが出来上がっているはずです!

<途中にあったスタックポイント>

1.)macのターミナルでコマンドを実行しようとしたら文字化け。

ターミナルの文字エンコーディングと、javaの文字エンコーディングの違いによるものらしい。
ターミナルの文字エンコーディングを、shift-jisに変更し、対応。
※写真参照

2.)zipalignコマンドがどういう訳か動作せず。
ローカル内を検索したところ、コマンド自体は存在していたので、コマンドのパスを通し、無事解決。

<参考にしたリンク>

https://forum.processing.org/topic/exporting-processing-s-pde-to-android-s-apk
http://www.akeric.com/blog/?p=1352

 

2012年カンヌ注目事例


今更、という感じもあるが、今年のカンヌで気になった広告事例をいくつかまとめてみた。

個人的には、「ネガティブな要素がある広告」に注目している。なぜネガティブか、と言われれば、自分がひねくれているという性格的な部分もあるかもしれないが、そこに何かしら人間の素性を示す要素があるような気がしてならないからだ。

「正義と悪」というテーマで登場人物が比較されるとき、正義(=つまり正しい事)だけの視点では何となくつまらない。負の面である「悪」が描かれてこそ、物語に深みが出る。(スターウォーズとかもそうだったし)という訳で、ネガティブな要素がキャンペーンの中にある事例を集めてみた。

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「憤怒:イライラの昇華」
“Parking Douche”

ロシアの新聞社、”Village”が展開したキャンペーン。ロシアにはびこる駐車クズども(=parking douche)を一掃するためのもの。街中で違法駐車を見つけた場合、専用のアプリを使って車のナンバーなどの情報を投稿。投稿情報をもとに、違法駐車が停められている近辺でVillageのウェブサイトを見ている閲覧者に、まるでページの閲覧をブロックするかのように、違法駐車車両が画面上に登場。邪魔な車両をどけ、再びページが閲覧できるようにするには、facebook上にてこの違法駐車車両について、「晒しあげ」をする必要がある。違法駐車がもたらす「イライラ」をうまく昇華した事例。

「喪失:〜〜がない」
“Empty Pages”

ペルーの新聞社”El Bocon”が展開したキャンペーン。この事例は、ペルー内で行われたとあるサッカーの試合において、白熱したファン同士のいざこざがもとで死亡してしまったファンの存在が契機となっている。サッカーの試合において、このような暴力沙汰が起こってしまったことへの抗議として、El Bocon紙は、キャンペーン当日のサッカーに関連する紙面をすべて白紙化。「白紙の紙面」という衝撃的な見栄面のまま、新聞を発行。ページをめくっていくと、白紙部分のあるところにメッセージが。「繰り返される暴力はフットボールを消してしまう。フットボールを守ろう。人の命を守ろう」当たり前にあると思っているものを喪失させることで、ストレスを生み出し、メッセージにフォーカスを当てることに成功している。

“Book Burning Party”

ミシガン州トロイにある公立図書館のキャンペーン。地元行政の財政状況の悪化により、いったんは閉鎖に話が進みかけてきた図書館だったが、それに反対するため、「図書館の本を燃やすパーティー」を企画。SNS上で展開。本を燃やすという好意に対して、多くのアテンションを獲得することに成功。「図書館がなくなるように投票すること=財政状況の改善」から「図書館がなくなるように投票すること=貴重な書籍を燃やすことに等しいこと」というパーセプションチェンジを実現。「図書館の本がもしなくなったら」という喪失をキャンペーンが演出することによって、メッセージを伝えることに成功している。

「仮定:もし何とかだったらどうなるか」
“The Return of Dictator Ben Ali”

チュニジアにて国民に投票を呼びかけるためのキャンペーン。長年の独裁政権を倒し、民主政治の道を歩もうとしているチュニジアの国民だったが、国内は疲弊しきっており、誰も政治にもはや興味を持っていない。そこでこのキャンペーンは、街の見晴らしのいいところに、昔の独裁者の顔写真がプリントされたOOHを展開。これを見て、独裁者が再び戻ってきたと勘違いした民衆は、怒ってこのOOHを取り外そうとする。すると、OOHがうまい具合に外れるがその下にはもう一枚、別のOOHが。「投票をしなければ、独裁者は再び戻ってくる。」というメッセージとともに、国民に政治に参加し、投票することの重要性を問いかける。「もし失脚したはずの独裁者が戻ってきたら?」という仮定を用いて、ストレスフルな状況を作り出し、コミュニケーションする事例。

「現実:みたくないかもしれないけれど」
“I have already died”

オランダでのALS(筋萎縮性側索硬化症)についての理解を普及・啓蒙、そして寄付を促すキャンペーン。ALSは進行することによって、死に至る病であるが、実際にALSとして診断された患者をキャンペーンに起用。広告物に登場する人物として、ALSに対する理解と、寄付を促すメッセージを発信する。ただ、すごいのはこの広告が出稿される時期。
掲載されるのは、広告内で登場している人物が死亡してから。広告を見た人は、今実際自分が登場人物が「既に死亡している」という現実をまざまざと突きつけられることになる。見たくない現実をあえて突きつけ、コミュニケーションする事例。

“Adoption Drive”

ペディグリーによる引き取り手のいない捨て犬の里親になることを啓蒙するニュージーランドでのキャンペーン。3D映画のシネアドとして放映される素材を2パターン用意。その際に、観客はキャンペーンのために寄付をしたか否かによって別々の3Dメガネを手渡される。寄付をした場合と寄付をしなかった場合とで、放映されるシネアドが違って見える。寄付をした人の場合は捨て犬がきちんと保護されていくというもの。寄付をしなかった人の場合は捨て犬が救われないというもの。自分の行動の結果によって、救われない(見たくない)現実を見せつけることで、コミュニケーションする事例。
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人の怒りであったり、悲しみを誘うような手法というのは、一歩間違えれば、炎上するリスクも極めて高い。このようなリスクをとろうとする広告主も、きっとそう多くはないだろう。(事実、上に上げた事例の広告主は一般企業ではなく、炎上をリスクとは捉えないNPO/NGO団体が多い。)だが、逆にここの炎上リスクについても綿密な計算が成り立つのであれば、機能するとも言い切れる。

例えば、先の独裁者の事例も、「きちんと騒ぎになるように」(これもへんな書き方だが…)その場で民衆の怒りに火をつけ、OOHをはがすという行為に至らせる為の「発火役」の人間がいたようだ。しかも、その後の媒体露出までのスムーズな移行が、キャンペーンを成功に導いたといっても過言ではない。いずれにせよ、極めて緻密な計算である。

ただの「恐怖訴求」ではなく、どのような反応になるのか、どのように炎上するのか、それがどう広がっていくのか。結果までを計算した上で、ネガティブな要素を触媒として使えば、大きなリターンをきっと得られるだろう。

マキャベリズム的プロデュース思考


広告における「いいプロデューサー」とはなんであろうか?

広告業界において、良い仕事をするために、たくさん仕事人が日々自身のパフォーマンスを研鑽すべく同じように問い、仕事に臨んでいるかと思うが、私は「マキャベリズム的思考」がなされているかという事が、一つ条件としてあると思っている。

マキャベリズムというと、「権謀術数主義である」だとか、「目的の為に手段を選ばない」だとか、ネガティブな意味がつきまとうが、こと広告の仕事となると、この考え方は美徳に変化する。

エントリーの最初にも”Shit Happens”(「クソなことは必ず起こる」)とあるが、どんな仕事でも必ずそうだと思うが、仕事をしていると「あり得ないだろう…」と思う事含め、それこそ本当にいろいろな事が起こる。しかも、それは様々なレイヤーで起こる。そして、そういう事が起こるたびに「自分はなんてついていないんだろう…」と思う。だがその反面、「これを回避する為に何かできる事は無かっただろうか?」とも考える。

そんな時にこそ、マキャベリズム的思考が重要となってくる。
四方八方から降り掛かってくるであろう火の粉を、一つ一つ、脅威となる前に
・「レイヤー関係なく」
・「手段を問わず」
つぶしていくのが広告プロデューサー的観点から見たマキャベリズムだ。

ある種未来を先読み仕様とする事なので、これは非常に難しい。起こってもいない事を、考えて考えて、少しでも危険な香りがしたら、先回りしてひとつひとつ火消しをしていく。

この火消しの際に、役職であったりだとか、役割は関係ない。破綻をきたすような事が無いように、すべての要素がつながり、安全な一本の線になるように最新の注意を払う。この線を途切れさせようとするものは何があっても排除する事。また、それだけでなく、なるべくこの線が太くなるように補強をしていく。怠けては行けない。一瞬の怠惰は、このか細い線を寸断するには十分すぎる可能性を持つ。

この作業をなにがなんでもやりきろうとする意思の強さがプロデューサーに求められるマキャベリズム的思考だ。

映画”bourne ultimatum”にて、手段を問わずボーン抹殺をもくろむクレイマー長官(CIAの偉い人)が言った台詞がある。

“My number one rule is hope for the best, plan for the worst”
(最上を望み、最悪に備えた計画を立てるべし)

まさにこの通りだと思う。過度にビビってはいけないが、最悪を想定すればするほどリスクは回避され、シミュレーションは精緻になっていく。

電通鬼十則に「頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。」という言葉があるが、「八方に気を配って」というのはこのマキャベリズム的思考の事を指しているのではとさえ最近思う。

リスクを取り除き、理想的な状態をキープできている事自体がある種の芸術であり、クリエーティビティーが発揮されている証左である。

書いている本人がまったく実践ができていないが、自分の戒めとしてもしっかりと実践していきたい。

 

【ヘルシー】グリーンスムージー飲んだ【超すごい】

「グリーンスムージー」を知っているだろうか。

アメリカのセレブの間ではもちろん、日本の中でも最近ブームの兆しを見せつつある、グリーン(野菜)を取り入れたヘルシーなジュースの事である。もともは、ロシアからアメリカに移民してきたおばちゃんが開発したメニューで、本国アメリカでは一足先にブレイクし、それが日本にも広まってきているらしい。最近では、女性誌を中心に紹介され、某有名グラビア女優が〇〇kgのダイエットに成功した、だとか体験談がちまたにあふれており、話題に事欠かない状態だ。

自分自身も、社会人になって以降、増えるばかりの体重に懸念を抱きつづけ、健康に気を遣うべく、身体にいい事を初めて見ようとは思うものの、どれもつづかず、なんだかとても悪い気分になってしまうばかりだったが、このグリーンスムージーは続ける事ができている。(まだ2〜3週目とかだけど…)

そもそも、グリーンスムージーは、仕事をきっかけに知った。そのときは、「こういうものがあるんだ」ぐらいにしか思っていなかったが、転機になったのは、とある仕事で徹夜明けの状態でグリーンスムージーを飲んだとき。最近になって社内での異動を経験したのだが、それまで「徹夜」という仕事のスタイルになれていない自分にとっては、非常に身体的に負担のかかるもの。徹夜明けの翌日はぐったりしてしまい、打ち合わせから打ち合わせに移動する際、普段であれば公共交通機関を利用するものの、疲労困憊状態であったため、どうしてもタクシーを使用せざるを得ないと判断するぐらいの疲れようだった。

「このまま一日を過ごすのはやっぱりきついな…」と思っている矢先だった。ちょうど、グリーンスムージーが販売されているスタンドに行く用事があり、待ち合わせの時間に他のメンバーが遅れる事となった為、先乗りした私は、試しにグリーンスムージーを飲んでみる事にしたのだ。

これがすごかった。

一口飲んでみると、さっきまでの身体の倦怠感が嘘のように消えていくではないか!まさか…そんなはずは…とおもい、もう一口もう一口と、グリーンスムージーを口に運ぶ。そうするとどうだろう。やはり、さっきまでの徹夜明けの疲れがどんどんとれていくではないか!この現象にまさに驚き、私はグリーンスムージーを継続する事をそのとき決めたのであった。

というわけで、私が実践しているグリーンスムージーだが、非常に簡単。ブレンダーでお気に入りにフルーツをまぜ、そこに冷凍青汁ジュースを足すだけ。忙しい朝でも5分もあればできる。私は毎朝出勤前に飲む事にしている。(こう書くと、かなり健康に気を使っているみたいで、なんだか自分が誇らしくなってきてしまう…とくにここ数年の不摂生を考えると…。)

フルーツは、厳密にはグリーンスムージーとしていれない方がいいものがあるらしいが、それはグリーンスムージーのオフィシャルページで確認できる。そして、使用している青汁はファンケルのこれ。ネットで30パック分など、まとめて注文できるし、いったん注文してしまえば、配送希望を伝えて受け取るだけ。どこにも外出しなくてもいいのでとってもカンタン。

また、ブレンダーだが、調べてみると本当に千差万別あるみたいだ。ちなみに、グリーンスムージーの人たちが使っているブレンダーを調べるとvitamixという超パワフルな機材。値段が軽く7万を超え、いきなりこれを買うという豪気な人はいないだろうから、もっと安いものからスタートするのでも問題ないと思う。ちなみに自分が買ったのはこれ。一人分が一杯で飲む量としてはちょうど良いので、実は重宝している。

こんな調子で日々フルーツと青汁をとり続けている。まだ初めてばっかなので、身体の変化はまだまだ実感しがたいが、本のちょっぴり身体が軽くなったよーな気はする。とはいえ、不足しがちな野菜や果物を習慣的に摂取できている事は間違いないので、これからも続けていきたいと思う。もし、目に見えて身体の調子が好転するようなことがあれば、また共有したいと思う。

それにしても、ステマっぽい、エントリーになってしまった。

仕事における能力の高さ

仕事における能力の高さとはなんであろうか。

一番簡単な指標は、周りの人との相対的な比較だろう。
「あの人は仕事できる」
「〜〜は仕事できない」

など。

私たちは皆、幼少の頃から学校や塾でそのような方法に慣れ親しんでいるからだ。

ただ、職場は、学校とは違う。職場で仕事をしていると、様々な人に出会う。年齢や仕事での経験や、バックグラウンド、国籍までも、何もかも違う。

他人と比較するのは意味が無いのではないだろうか。それに、比較をしだすと、落ち込む。他人を出し抜くのは非常に難しいからだ。(そして、だからこそ、自己啓発本が時を問わず売れる)

では、能力の高さとはどこからくるのだろうか?私は、それは自分の切片(傾き)だと思う。

それは、能力の高さではなく、情熱の強さである。自分の普段の意識の持ちようである。
仕事に日々向き合うとき、過去も、未来も気にせず、仕事をしている一刹那に力を込めるとき、その人の切片はきっと高くなるはずだ。

だが、自分のこれまでの経験や、自分で把握している自分の性格に照らし合わせて考えると、この切片は意識しないと切片は高くならない。
・仕事における情報収集を心がける
・休日に置いても仕事の事をどこか考え続ける
・会議で積極的に発言する
・自分の価値分のアウトプットを出し、さらにはその上のアウトプットを目指す
※いわゆる仕事で成功する為の「心がけ」だ。金太郎あめをきったみたいに跋扈している自己啓発本を読めばこれらの内容の枚挙には暇がない。

面倒だけど、確かに自分の気持ちをがんばって「押し切らないと」、たしかに情熱は生まれない。人間は元来怠惰な生き物だと思う。だが、押し切った後の気持ちは壮快だ。活力がみなぎり、どんどんやる気がみなぎってくる。達成感もある。

だが。

こんな事を書いていると、資本主義って本当に大変だなと思う。

なぜ、ここまでやるのか。なぜ、仕事を頑張る事/自分の「成長」とやら(それが本当に成長なのかどうかは怪しい…)を目指すのか。その先に何があるのか。
一種の「出家」のようであると思った。がんばる事に、理由なんか無い。ただコミットし、そのコミットに対しての成果を求めるのみ。このコミットの代償が高ければ高いほど、リターンも確かに多い。

 

現代日本のビジネスパーソンのなかに、(日本に限った話じゃないかもしれないが)仕事がある種の宗教的なよりどころになってしまっているような気がする。

今の仕事は確かに好きだし、充実感もあるが、社会全体でもっと気楽にやればいいのに、とも思う。

wordpressブログでたまっている大量のspamを消し去る方法

ブログをアップデートした、というのは先日書いた通りだが、アップデート前にブログのスパム対策をほぼ何もしていなかったため、承認待ちになっているスパムが大変な量になっていた。

これを跡形も無く消し去る方法(スパムの量が多くなればなるほど、手動で消していくのは大変な作業である)をネットで調べものをしていたら発見したので、後学の為に残すとともに、シェア。

↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

(1)使用しているホスティングのバックエンドサービスにログインする。

どこのホスティングサービスを使っているかによるが、ホスティング会社によっては、バックエンドサービス(e.g. cPanel)を提供している事がある。ここではcPanelを前提に話を進める。まず、cPanelにログイン。

cPanelの画面はこんな感じ。


(2)phpmyadmin経由で、ブログのデータベースにアクセスする。

cPanel内に、phpmyadminをさがし、クリック。

こんなアイコンである。

ブログのデータベースを選択する。”SQL”と書かれている箇所をクリックし、SQLコマンドが入力できるテキストボックスが出てくるはずだ。

“Run SQL query”と書かれているところがそれである。

(3)SQLコマンドをぶち込み、憎いスパムを殲滅する。

このテキストボックスに、以下のSQLコード入れる。

DELETE FROM wp_comments WHERE comment_approved = ‘0’

※操作を誤ると、データベースに重大な損傷をきたす可能性もあるので、実行の際には十分に注意する事。

実行後、“40213 rows affected”みたいなメッセージが出れば、完了だ。もう一度wordpressの管理画面を開いてみるといい。

そうするときれいさっぱり、スパムが消えている!

気持ちがよいものである。

仕事の速いインド人

この週末、ブログをアップデートした。

このブログを初めてインストールしたときからずっと、wordpressのバージョンを変えていなかったり、スパムコメントもずっと放置してしまっておりいい加減なんとかしたかったので、重い腰を上げてまずはwordpressを最新版に更新する事から始めて見ようと思ったのだ。

なお、wordpressには「ブログバージョンの自動更新」という大変便利な機能があり、これを使えば一発でタスクが終わるんじゃないかとたかをくくっていたのだが、よくわからないエラーでそう簡単には進まなかった…。

いろいろググったりして、wordpressの設定ファイルをいじってみたり、パーミッションを変えてみたりだとかいろいろ試した見たのだけど、どれもダメ。(実は、数ヶ月前からアップデートを試みていたのだが、スタックし解決できず)

そんななか、突破口は顔も知らないあるインド人によってもたらされた。

自分が持っているドメインのホスティングサービスのサポートに助けを求めたのだ。この体験が面白かった。

ホスティングサービスのサポートと言うぐらいなのだから、メールベースもしくはフォーラムで過去ログを漁るものなのかなと思っていたのだが、最初の入り口はなんと「チャット」。リンクをクリックすると、いきなりテックサポートがネットの向こうで一人待ち構えている。

チャットルームの参加者は私と、そのテックサポートの人だけ。その人の名前で画像検索をかけるとすてきな笑顔のインドの方々の顔がずらりと並ぶ。きっと、インドの方なのだろう。

恐る恐るブログの自動更新ができない旨を伝えると…。

すぐに返事が返ってくるではないか!

twitterだの、facebookだのソーシャルだとかなんとかみんな言っているが、ネット黎明期に覇権を極めたicqなどのようなチャットという久しぶりの一対一のコミュニケーションに軽く感動を覚えてしまった…。

しばらく、チャット上でやり取りした後、個人的なやり取りとなるのでサポート用のメールアドレスにメールを送ってほしいという依頼が来て、初めてメールに移行する。

だが、このメールもまたすごい。どのメールのやり取りも30分程度でばんばん返事が来る。問題の再現性の確認を行ったりで、数通やり取りした後「直りました!」というメールが。

ここまでにかかった時間はほんの数時間。

ここに至るまで、ずっと何ヶ月も一人で四苦八苦していた事を考えるとまさに干天慈雨である。

無事wordpressは最新版にアップデートし、自動アップデートがめでたくできるようになったついでに、wordpressプラグインを追加し、いろいろ手を入れてみた。

でも、こういうのを見ていてすごいなと思う。出てくるテックサポートの人がインド系の名前なので、インドのどこかにサポートセンターがあるのだと思うのだけど、世界中からそれこそ矢のように飛んでくる技術的な質問にすべて答えるだけの専門性と語学力があり、しかもそれが日本だろうが、アメリカだろうが、どんな時差でも24時間対応する。

やっている人たちも相当なプレッシャーの中でやっているはずだ。事実、自分がチャットで話していたときも、横から他ごとの設定がうまく行かない怒ったアメリカ人が乱入してきて、割と乱暴な言葉遣いをしながら(店員に文句を言う客という姿は万国共通だ)テックサポートの人にあたるのだが、それも華麗にかわして、問題を解決していた。

リアルタイムのチャットとはいえ、やっぱり人間と人間の対応だと自分は思うので、こういう場でもキチンとリスペクトを持って相手には接するべきだ。対応してくれたインド人スタッフには丁重にお礼を申し上げ、感謝。

また一つ勉強になった一日だった。