5月気になったトピック:「カンヌ2014直前、注目作品」

4月は何もアップロード出来なかった・・・。勉強の為に、「今のところ、他の広告賞は受賞しておらず、カンヌで注目されるであろう作品」をまとめてみた。「他の広告賞を受賞していない」というところがなかなかトリッキーで、必然的に、最近発表になっている事例が多い。あとあと、答え合わせをしてみると、面白いかもしれない。

No.1:“Speaking Exchange”

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概要:
ブラジルにあるCNAという英会話学校がクライアント。その学校に通う生徒の全員が、ネイティブスピーカーと英会話を練習するチャンスが全生徒にあるわけではないので、特製のツールを開発。シカゴにある老人ホームとのビデオチャットが行えるようになり、老人ホームの居住者が先生役となる。二人の間の会話は録画され、ビデオチャット終了後、プライベートリンクでYoutubeにビデオをアップロード。英会話学校の先生がチェックし、採点する。エージェンシーはFCBブラジル。ローンチ時期は2014年5月頃以前。

何がいいか:
Win-Winな状況を作り出し、クライアントだけで無く、同時に他の部分でのソリューション解決に繋がっているところ。会話が終了した後、先生にチェックさせる、という細かい仕組みまで設計できているのがすばらしい。ツールとしての有用度が高まる上に、トラブル回避にも繋がっている。また、英会話以上の、人と人のつながり、というエモーションの創出(ができているようにみえる)に成功しているところに、見ているこちら側も、すこししみじみしてしまう。Social GoodはSocial Goodでも、「しみじみSocial Good」な事例。

議論ポイント:
Social Goodは、やっぱり評価されるか。Social Goodなら、それでいいのか。

参考URL:
https://www.youtube.com/watch?v=-S-5EfwpFOk
http://adsoftheworld.com/media/online/cna_speaking_exchange

No.2:“Tattoo Artists against Skin Cancer”

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概要:
ビーチで使う日焼け止めなど、日差しが強い場所用のスキンケア商品を製造・販売。ブラジルの「ビーチ・カルチャー」の代表するブランドが、皮膚ガン防止のために一肌脱いだ。ブラジルで活躍する450人のタトゥー師に、皮膚ガンの予兆を見分ける医療知識の研修をオンライン授業として展開。タトゥーを行いに来た人に対して、皮膚ガンの早期発見・予防を促す。毎週18,900人の診察を行った計算に。エージェンシーは、サンパウロのオグルビー。ローンチ時期は、2014年5月以前。

何がいいか/悪いか:
「若い人でも皮膚ガンには実はなりやすい」という問題に「若い人の皮膚をよく見るタトゥーアーティスト」というコンタクトポイントをつなげたのはすばらしく、実際に課題解決にもなっていそう。どうやって、タトゥーアーティスト達にこのプロジェクトに参加してもらったかは謎。ブランドの「志」だけで、果たしていけたのかどうか。あとは、ブランドへの接着が少し弱いか。

議論ポイント:
前述の”Speaking Exchange”とは違いがあるとしたら何か。

参考URL:
https://www.youtube.com/watch?v=jeT3ekZzPpo
http://www.soldejaneiro.com.br/sol-de-janeiro
http://www.adweek.com/adfreak/sunscreen-brand-trains-tattoo-artists-look-signs-skin-cancer-157639

No3:“Honda H2O”

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概要:
Honda AustraliaのFCX(燃料電池電気自動車)のキャンペーン。FCXクラリティーが排出した水を売る、というキャンペーン。ローンチ時期は2014年5月以前。代理店はメルボルンのレオ・バーネット。

何がいいか/悪いか:
パッケージデザインが可愛い。というか、あのHマークの使い方はずるい。シンプル。正直、やられた感がある。が、以前、水を売るようなキャンペーンで似たようなのあったような気が。だが、水を使う理由の必然性が強い。いい話のようで、そうではない。デモンストレーション。

議論ポイント:
以前に、似ているエグセキューションがあった場合、やっぱり評価は下がるのだろうか。

参考URL:
https://www.youtube.com/watch?v=2tU6vio6xns
http://www.adweek.com/adfreak/honda-creates-bottled-water-brand-honor-vehicle-emits-only-drinkable-h2o-157619
http://www.bestadsontv.com/ad/62536/Honda-Honda-H2O

No.4:“Bulk Cat Litter Warehouse DM”

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概要:
クライアントは、Bulk Cat Litter Warehouse。猫用の砂を売っている会社。DMにキャットニップを塗って、DMを投函。すると、猫がじゃれるので、飼い主は思わずDMを拾ってしまう。エージェンシーは、バンクーバーにあるRethink Canadaというエージェンシー。2014年2月頃の事例。

何が良いか/悪いか:
動物倫理的にこれをしていいのかどうかよくわからないが、シンプルで、アイデア的にはわかりやすい気がする。ただ、シンプルすぎて、なんだか、強引で、反則をしているような気もする。動物を巻き込む、という手法は新鮮に思える。もだえる猫の絵は可愛い。が、肝心のデザイン自体は、あんまり可愛くない。

議論ポイント:
キャットニップで猫をだしに使う、という手法がありなのかどうか。デザインの良さとかは、全く評価に関係ない。

参考URL:
https://www.youtube.com/watch?v=Wj4ZJ52xn7c
http://www.adweek.com/adfreak/watch-cats-basically-hump-direct-mail-coated-kitty-crack-155799
http://www.bulkcatlitterwarehouse.com/

No.5: “3D ON THE ROCK”

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概要:
マシンで削り出した精巧な氷の3D彫刻でウイスキーのオン・ザ・ロックを作るという、プロジェクト。特に試飲ができたり、ということでは現在ない。エージェンシーは、TBWA/HAKUHODO。ローンチは、2014年4月頃。

何が良いか/悪いか:
シンプルでわかりやすい。やりそうで、誰もやってない、というところが絶妙。3Dプリントされた氷も美しい。サイトで流れている音楽も、ウィスキーを飲む際の「上がるテンション」「大人感」「おしゃれ感」を絶妙に表現。
SUNTORYのウィスキーは、映画”Lost in Translation”で、有名なので、日本国外の人にも、ブランド的親和性が高い。

議論ポイント:
が、これは、クライアントの何の課題を解決しているのか。「格好いいウィスキーのイメージの醸成」ということでいいのか。いったい、どういうオリエンがサントリーから来ると、こういうことになるのか。

参考URL:
https://www.youtube.com/watch?v=VAAnyUjiNGs
http://white-screen.jp/?p=37998

No.6: “The Protection Ad”

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概要:
ニベアの日焼け止めの事例。子供が海で迷子にならないように、雑誌を切り抜き、子供の腕に巻いておく。アプリで距離を設定し、その距離を子供が離れれば、アプリ側に通知をだす、迷子防止装置。2014年5月以前にローンチ。エージェンシーは、FCBブラジル(英会話事例と同じエージェンシー。強いな・・・。)

何が良いか/悪いか:
絶対、使わないと思うが、やってることは役に立つので良い。複数回使える、という説明も聞いていて良い。素材にこだわりを感じる。MORE PROTECTIONS FOR YOUR CHILDという言葉だけで、日焼け止めと、迷子防止とつなげているが、そこに多少の強引さはは感じる。

議論ポイント:
広くは使われないだろうが、役に立ちそうなものを、どう評価するか。

参考URL:
http://creativity-online.com/work/nivea-sun-block-ad/35203
https://www.youtube.com/watch?v=nZ532wkhHYs

No.7:“The girl that became immortal!”

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概要:
One Earthという環境団体がクライアント。プラスチックを捨てると、分解されるまでかなり長く、ほぼ永遠に残る(Immortal)ということから、着想を得ているキャンペーン。ゴミを捨てた人をターゲットにする。名前をこっそり聞く。そうすると、その人を茶化して、「~~~は不死(Immortal)になりました!」というパレードがいきなり始まる。びっくりしていると、メッセージがでてきて、「ゴミを捨てんな」「プラスチックは半永久的に残るんじゃ」と。2014年4月頃のキャンペーン。エージェンシーは、ミュンヘンのピュビリシス。

何が良いか/悪いか:
ロシアのParking Doucheや、Drama Buttonにひきつづき、個人的には好きなジャンル。まとめ動画を見るのが面白いキャンペーン。サプライズからの実は叱責だった、という落とし方がひどい。Tシャツ売ったりなど、細かいところも芸が効いている。が、やはり、いたずらはいたずら。ターゲットも、本物かどうか。そこに、ひっかかりがどうしても出来てしまうのが、残念か。

議論ポイント:
お客さんをこけにする広告はやっぱり、評価は高くないのだろうか。

参考URL:
http://www.gutewerbung.net/one-earth-one-ocean-girl-became-immortal/
https://www.youtube.com/watch?v=v60Q7Tbct34#t=69

No.8“TWEETING HONEY BADGER”

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概要:
ヨハネスブルグ動物園の新ソーシャルアカウントマネージャーに、ラーテル(Honey Bagder)が就任。Bluetoothが設置されたエージェンシーは、Hellocomputer。ローンチは、2013年11月頃。

何が良いか/悪いか:
かわいい。テレビ的にも伝播のきくことばにしているのが良い。が、本当に動物の言葉ではないので、そこに少し作為を感じてしまう。が、「世界初」と規定したのは良かったのかもしれない。ツイートが、笑えて面白い。(Justin Bieberのまねしたり、Selfieとったり。)

議論ポイント:
「うまく言い換える」(=動物がソーシャル担当になった、みたいなものいい)はどのあたりまで許容されるものか。

参考URL:
http://www.gutewerbung.net/johannesburg-zoo-tweeting-honey-badger/
https://twitter.com/zootweetslive

No.9:“World Under Water”

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概要:
温暖化で、北極の氷が溶けたら?その様子をGoogle Map Street Viewで再現。ほとんどの人が、内陸部まで、水が入ってくる、ということを分かっていない。場所を打ち込むと、どれだけ海面が上昇しているか見れる。

何が良いか/悪いか:
良く見慣れている風景が、どうなるか、を割と高い精度で再現したところに、新鮮みを感じる。が、「結局のところ、自分の近所がどうなるか?ということを見せているだけで、インフォメーションは少ない」という批判も多い。技術的には、いったいどうやっているんだろう?

参考URL:
http://www.adweek.com/adfreak/world-under-water-uses-streetview-visualize-flooding-climate-change-157636
http://worldunderwater.org/

No.10:“Alarm Cap”

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概要:
クライアントは、ネスカフェ。目覚まし機能付き、コーヒー瓶。明けると、止まる。ローンチは、2014年5月以前。エージェンシーは、メキシコのピュビリシス。

何が良いか/悪いか:
一見、デジタルデジタルしてないクライアントで、ここまで強引にやりきったのは新鮮。使えそうで使えないところもまた絶妙。

議論ポイント:
使えそうで使えないプロダクトの評価はどうあるべきか。

参考URL:
http://creativity-online.com/work/nescafe-alarm-cap/35446