カンヌ2014:U2ボノ&Apple ジョナサン・アイブ対談最終セミナー


あっという間に、カンヌ最終日。そして、最終セミナー。
そして、最終セミナーにふさわしいカード。アップル上級副社長 Sir Jonathan Ive氏とU2 BONO氏の対談。モデレーターは、VICEマガジンのCEO, Shane Smith氏だ。

このセミナー、まず、人がすごい。Sarah Jessica Parkerやう、Sir John Patrickなどのセレブリティーが参加してたセミナーもすべて含め、これまで出たどのセミナーよりも人が多かった。私は、1時間半前から、別のセミナーに参加して、そのまま席を陣取った。

DSC_0123まず、前列すべてにカメラマン達が陣取り、前が見えない。最前列の人はちょっとかわいそうだった。右がBONO、中央がShane Smith、左がSir Jonathan Ive。BONOはとりあえず、グラサンをかけている。ロックスター感満載。

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今日の対談のメインテーマはREDプロジェクトについてだ。REDプロジェクトは、アップルとの関連が一番有名だが、2006年にU2のボーカルであるBONO氏によって立ち上げられたプロジェクトだ。目的は、アフリカのエイズを撲滅すること。アップル以外にも、上のスライドにある企業と様々な形でコラボを行い、プロダクトの売り上げから、エイズ撲滅のために寄付を行う、というものだ。アップルだと、赤いipodとかipadが有名だ。

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モデレーターのShane Smith氏が話を振りながら、Bono氏とJonathan Ive氏から話を引き出していくのだが、BONO氏はすごいですね。自分のプロジェクトに本当に情熱を持っているのがこちらにも伝わってるように語るし、ちょいちょい、ジョークを挟んでくれるのも、気が利いていて格好いい。

昔、Steve Jobs氏とBONO氏がREDプロジェクトでの打ち合わせをしているとき、BONO氏から「アップルロゴにかっこ()をつけさせてくれ」と申し入れたときに、けんもほろろに断れたらしいのだが、※Redプロダクトは、かっこ()がコンセプトを表す大事なキービジュアル。

“So when Steve told me that nothing interferes with the logo, I just thought, well, cram up your phone in the ass…and that was before the iPhone by the way guys!”
(スティーブに、アップルのロゴの周りは絶対に不可侵だ、と言われたとき、こいつのケツにこいつの電話をぶっ刺してやろうかと思ったよね・・・あ、ちなみに、これ、iPhoneの前の話ね!)

会場大受け。とにかく話が面白い。芸人の話聞いてるみたいだった。

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ちなみに、さらにすごいなと思ったのが、この上の写真。BONO氏の上にREDプロダクトのiPadがあるのだが、いきなりケースを外して一言。

「みなさん、これちょっと見てくれる?REDのロゴがね、iPadのケースの後ろにあって全然見えないの!」

「ジョニー、どうよ、これ?直そうよ!ね!」

といきなり、Jonathan Iveに直談判。(むしろ軽くディスってる)。が、そこはJonathan Iveも大人。ちょっと憮然としながらも、

“Modesty is the Apple way…”
(控えめであることは、アップルのやり方なんだよ・・・)
とぼそっと一言。

かっこいい。

そして、会の後半。ここでもさらにびっくりした。いきなり、通路席に赤いバケツみたいなのを持っている人達が現れた。「あれ、寄付金でも募るかな?」と思ったら、これに名刺を入れて、「俺たちと一緒にREDプロダクトをつくろう!」とBONO氏が言い出した。

さらに、「あと、なんか今いいアイデアでたら、発言してさ、俺に教えてよ!」といいだして、「会場総ブレスト大会」/「私、これやります!大会」になった。

中南米の銀行の担当者が「RED銀行口座」をつくることをその場で確約したり、なんか、ネットのドメイン扱ってる人が、世界で一つしか無い .hiv というドメインがあるらしく(?)、それをBONO氏に寄付するとか言い出したり。新手の商法みたいな事になってた。(私も一つ思いついたことがあるにはあったが、あまりにびっくりして戸惑って発言できなかった・・・)

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もう、会場総立ち。音楽のライブでもないのに、ライブ会場みたいになってた。すごかった。

カリスマはこうやって、人を動かして、世界を変えていくんですね。

 

・・・と、そんなわけで、私の初カンヌはこれで終わりました。事例もたくさん見たし、セミナーもたくさん聞きました。いろいろな国の人達と知り合いになり、話し込みました。そして、自分がその会場の中で、なにもコントリビュートできることがないのがただただ、悔しかったです。仕事をするのではなく、「素晴らしい」仕事をする。真摯に研究を怠らず、ゴールを達成するための正しいアプローチを心がけていれば、あるいは、達成可能な事かもしれません。仕事を不在にしてしまい、たくさんの人に迷惑をかけてしまっておりますが、日本に帰国して頑張ります。(カンヌに来てから、何回がんばるという言葉を口にしたか、、、)