カンヌ2014:電通セミナー


博報堂セミナーについて、書いたので電通のセミナーについても書くことにする。

今年の電通のセミナーのタイトルは、”Augmented Human”だ。
イントロで、映像が流れるのだがトリッピーで格好いい。紹介できないのが残念だ。

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本日のメインスピーカーは、佐々木康晴氏。(僕の上司だ。)

開始後早々の発言。
「今年はパフュームこないんだ、ごめんね(笑)」
と軽くジョークをかまし笑いをとり、
「そして、今日はアドバタイジングの話はしません。」
と。

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よく、ARだとか、言われるが、まずはAugmentの定義のおさらいから。「何かを付随して付け足す」みたいな意味だが、もっとシンプルに言うと、このスライドに書いてあるとおり、何かをよりすごくしたり、キャパシティーを高めたりするということだ。

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そして、
今日のセミナーのテーマである”Augment Human”だが、Augmentするのは、Realityではなく、Humanである。テクノロジーの新しい使い方。
ここ最近の電通がつくったものを一通りご紹介。
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NEKOMIMI.
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Living Wallet. 財布の可愛い動きがリスナーに受けてた。

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次に、佐々木さんから同じく本日のプレゼンターである、東京大学大学院情報学環の暦本教授にバトンパス。最近の研究と共に、Augmented Humanの考え方に触れてもらう。

スライドの写真が無くて恐縮なのだが、人が道具を使うときを例にだして説明をしてくれていた。たとえば、マウス。OSというものに対して、マウスがインターフェースとなり、OS上の「ポインター」として、自分の動きをAugmentしてくれる。

他の道具でも同じだ。たとえば、包丁。包丁を握る「柄」の部分がインターフェースとなり、刃が「切る」、という行為をAugmentし、可能にしてくれる。

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すこし、考え方を拡張して、Jack Inという別の観点からAugmentを考えてみる。Jack Inとは、マトリックスとかであった、機械の中に没入する、という状態ですね。この後の例で出ていたのが、ドローンにカメラを装着して、その映像を人間にOculusなどで送る、というもの。そうすると、第三者視点で、ジョギングができる。

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サッカーなんかも、より面白い視点でプレーできたり、それを他に共有できたりするようになる。

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トピックはまたすこし移り、今度はスポーツの話に。

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スポーツをAugmentするとして、そのときにカテゴリーが3つほどに分かれる。トレーイング、観戦、そしてプレーするときだ。

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たとえば、トレーニングするとき。Swimoidとよばれる、スライドの下にうつってるマシーンだが、こいつは、泳いでいる人の下を「伴泳」し、鏡のようにその人のスイミングフォームを見せてくれる。泳いでいる人も、コーチも、実はなかなかフォームについて把握できないので、このように、別の視点から見れるようにすることで(例えば、コーチが地上からこのSwimoidが把握している映像にJack Inすることで)、トレーニングという領域をすこしAugmentする事ができる。

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次は、スポーツを観戦するときのお話。良く、GoProなどで自分目線で撮った映像がアップされていたりする。

DSC_0027これは、すなわち、スポーツをしている人に観客がJack Inするということともいえる。そう捉えると、もっと、いろいろな面白い可能性が広がってくる。

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たとえば、このヘッドギアのようなマシン(スライド左側)。装着している人の視点を360度確保できるという優れもの。Oculusなどを使えば(スライド右側)、その人の視野を「再体験」できるというわけだ。

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ここで、教授が実際にデモで見せてくれた。

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たとえば、それを大車輪をしている体操選手に付けてみる。そうすると、体操選手の演技を、体操選手側の視点から見れる。ぐるぐる回って、気持ち悪くなるかもしれないので、プログラム的に処理をして、「視点を固定して」演技を見る事も出来る。

このあたりから、聴衆から感嘆の声が漏れはじめる。そして、隣の人から、「え、すごい、どういうこと?」という声が上がってので、自分が知った風な顔して「いや、だからね、Augmentされてるわけ、わかる?」と解説をする。

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そして、次にプレーするときの話。紹介されたのは、HoverBallというもの。ドローンが中に内蔵されたボールだ。

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そうすると、何が実現できるかというと、たとえば、大人と子どもがキャッチボールして遊んでいる時を考えると、子どもがキャッチするときだけ、キャッチできるようにスピード落とす、ということも可能になる。

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他にも、ボールに「あり得ない動き」 をさせたりする事ができて面白い。

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実際にデモを見せて頂く。投げたら帰ってきた。フォースの使い手みたいだった。

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スポーツをエキスパートのものだけにするのではなく、本当の意味で、「みんなのもの」にできる可能性があるものなのだ。

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ここで、Dentsu Lab Tokyoのご紹介。そこでのプロジェクトについての話になる。

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そして、満を持して、太田選手の登壇!プレゼンに熱気がこもっていて、すばらしかった。ジェスチャーとか、相当練習したんだと思う。その徹底的な姿勢に感動した。

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太田選手からは、2020東京オリンピック招致の時に話題になっていた、フェンシングをセンシング技術を使って可視化する話があった。

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端から見て、フェンシングは、いったい何をやっていて、そもそも、どっちがかったのかすら、よく分からん・・・ということで、それを様々なセンシング技術を駆使し、みんなにも分かるようにすれば、楽しいよね、という話。

実際に、太田選手の「突き」を実演してもらい、その場で剣先をトラッキングする、というデモも見せてもらった。

このあたりでも、リスナーはみんなびっくりしてるようだった。

そして、映像だったので、残せなかったが、国立競技場プロジェクトの紹介映像も最後に流れた。

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最後に、佐々木さんによるシメ。機能だけではない。技術だけではない。エモーションを追求することで、より大きな課題を解決していく。
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プレゼンター3人。

プレゼンが終わったときは、会場から割れんばかりの拍手。博報堂セミナーのエントリーでも書いたが、なかなか他のエージェンシーにはまねできないような日本の仕事のやり方や、強みが明解に伝わったのではないかと思う。(隣にいた人に話を聞いたら、「日本すごいわね、私たちのエージェンシーじゃ、絶対できないわ」といわれた。)トピックの内容も具体例やデモがふんだんに用いられたので、すごく良かった。

プレゼンが終わった後、周りの全然しらない人達に、どや顔で「あれ、僕の上司なんすよ」と触れ回った。別に、自分自身は何もしてなかったけど、自分の会社が誇らしかった。が、また同時に、特に良い仕事をしているわけではないので、悔しくもある。来年こそは、なにかプレゼンできる立場になりたいと強く感じた。

がんばろう。