カンヌ2014:Future Lionセミナー


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今日は、レイ・イナモトさんがスピーカーをつとめるFuture Lionのセミナーに行ってきた。

前日に、主催者がホストする公式のパーティーがあったので、いろいろやってたら、レイさんを発見!よっしゃ、話しかけに行こう!ってことで、白々しく、何も知らない振りして話しかけて、「あ!あのレイさんですね!失礼しました!」みたいなちょっとした寸劇をやっていたりしたのだが、「実は今やってる仕事で迷っていることがあって、かくかくしかじかこんな内容なんですけど、どう思いますか?」とせっかくなので聞いてみたところ、「それだったら、明日セミナーやるから、聞きにきなよ!」と教えて頂いたので、行ってきた。

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Future Lionとは、9年前からAKQAが主体となって毎年やっている、学生向けの新人発掘セミナーみたいなプログラムだ。お題に対してソリューションを出し合い、その内容を競う。カンヌに対する批評でよくある一つに、「カテゴリーに分けることに意味はあるか?」というものがある。Future Lionはその批評に対するアンチテーゼという意味合いもあり、カテゴリーは特にない。参加者は、アウトプットをカテゴライズせずに、自由にソリューションを考えられる。AKQAは、これを毎年無償でやっている。かわいらしいライオンがマスコットキャラだ。ちなみに、今回は40超の国からの参加で1700以上の応募があったとのこと。メインのカンヌカテゴリーよりも多くのエントリーがあるような部門になりつつある。一番応募が多いのは、アメリカとイギリスで、信じられないことに、日本の応募数は「25」だそうです。せっかくのプログラムなのに、本当にもったいない・・・。

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肝心のお題だがだが、きわめてシンプル:
「5年前には不可能だった方法で、ブランドとターゲットを結びつけよ。手法/ブランドは不問。」
どうだろうか?わくわくしないだろうか?(ってか、自分も応募できたらしたかった)

今年は、以下のエントリーが入賞していた。

Google Gesture

最近のガジェットで、自分の筋肉の動きで、ジェスチャーを検知できる、というものがあるが、これをGoogle翻訳とつなげて、手話をスピーチに変換する、というもの。きちんと、既にあるテクノロジーを使っているし、できそうな感じもする。が、ありそうでなかった、というところが憎い。

Donate by Update

これも非常にうまいと思った。Redプロダクトが一時期流行ったが、既にアップル製品を持っている人達に対して、以下に買う意味をつくるか?というのが出発点。だとするならば、製品を買わせるのではなく、OSのアップデートを課金することで、寄付を集めるようにしよう、というもの。問題に対してのソリューションが、鮮やか。

Do Zero For Climate Change

アイスを保存するのに、不必要に温度の低い冷蔵庫である必要は無い。そこに着目したネタ。

HEARt Me

子どもの心臓の不穏な動きをウェアラブルTシャツで検知し、親のスマホに情報を送信。それだけでなく、心拍数のデータを研究目的で使うこともできる、というアイデア。

Passion is Power

深刻な電力不足に悩むブラジルで使うことを想定した事例。スタジアムに、衝撃で発電ができるマットを導入。ワールドカップの実施が、電力不足の解決に繋がる、という昨今のブラジルのワールドカップのデモを解決するのに役に立ちそうな事例だ。

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ちなみに、受賞した作品のアイデアを考えた学生達が壇上に上がっていくのだが、そのときに男女のペアでコンビを組んでいたグループがいて、男が女にキスをして上がっていったやつがいて、格好いいことこの上ない。負け組気分をこれ以上にないほど増長された。

・・・明日から、がんばろう。

と、そんなことはさておき。
レイさん、最後にこんな事をそういえば言っていた。

“Technology should function to remove friction.”
“And both the brand and the technology should function to serve the humanity, if not to change the world, but to make a dent in the universe.”

物事を難しく、大変にするのはテクノロジーの本意ではない。
そして、究極的には、ブランドを通じて我々がつくるものが、少しでも世界をよくするようにする。

もしかしたら、自分の仕事のヒントはここにあるのかもしれない。